アスリートもひとりの人間である。~メンタルフィットネス調査結果を受けて~

2021/02/04

 日本ラグビー選手会は、国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)と協同でラグビー選手のメンタルフィットネス調査を行なっており、以下リンクの通りその調査報告がリリースされました。専門機関と共にトップカテゴリーのアスリートたちが自らのメンタルヘルスに関する調査を主導し、さらにその結果をオープンにすることは日本初(注1)とのことです。
 

「ラグビー選手におけるメンタルヘルスの実態
~ジャパンラグビートップリーグ選手におけるメンタルフィットネスの調査からの報告~」


 この初めての試みから社会に対してお伝えしたいメッセージは「アスリートはひとりの人間」ということです。

 今回の調査で得られた結果は、競技者として「アスリート」と呼ばれる私たちは「非アスリート」である方々と同じように心理的・精神的なストレスに囲まれており、「アスリート」だからと言って、ストレスやプレッシャーへの耐性が強いわけではないということを示していると思います。

 また、例えば「アスリートなんだから」「身体も心も鍛えているから強いだろう」「好きなことを仕事にして幸せだね」といった「周囲からの理想像」や「期待」の狭間で悩んでしまうアスリートも少なくありません。その身も心も崩れてはいけないというプレッシャーこそが、よりアスリートの心に不調をもたらす可能性もあります。

 私たち選手会は、今回の調査結果をオープンにすることでラグビー選手のみならず、トップカテゴリーで活躍しているアスリートも「ひとりの人間」として心のケアを必要とし、むしろそれを積極的に行うことで自らのパフォーマンスをさらに向上させていくことが望ましいという考え方を世の中に広めていきたいと考えています。

 ひいては、こうした意識が社会で受け入れられることで精神疾患への偏見やその対処をすることへの抵抗感を軽減し、多種多様な価値観と生き方が受け入れられる、みんなが生きやすい世の中になるための一助になればこれ以上に喜ばしいことはありません。

 なにより、ひとりでも多くのアスリートが競技生活中もその先も、「本気でスポーツに取り組んで良かった」と心の底から感じるスポーツ業界であるように願っています。

 等身大の「ひとりの人間」として、「よわさ」を受け入れて理解し、「つよさ」に変えていく。こうした姿勢を私たちアスリートが率先して世の中に示していければ、また一歩、素敵な世の中になるのだと信じています。

 

(END-2021-02-05)

 

(注1)拠出:国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)